大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 平成5年(わ)1615号 判決

国籍

韓国

住居

大阪市生野区中川西二丁目八番八号

会社役員

山本立次こと 崔翼龍

一九二八年一二月一五日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中井隆司出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一六〇〇万円に処する。

右罰金刑を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪府東大阪市渋川町二丁目一〇番二六号において、「山本化学工業所」の名称でポリウレタン成型加工業を営むものであるが、自己の所得税を免れようと企て

第一  平成元年分の総所得金額が二九二〇万二三円で、これに対する所得税額が九九〇万三五〇〇円であるにもかかわらず、架空仕入れを計上する等の行為により右所得の一部を秘匿したうえ、平成二年三月一五日、大阪市生野区勝山北五丁目二二番一四号所在の所轄生野税務署において、同税務署長に対し、平成元年分の総所得金額が七九〇万四〇九〇円でこれに対する所得税額が八九万二二〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額九〇一万一三〇〇円を免れ(別紙1の1の修正損益計算書及び別紙2の税額計算書参照)

第二  平成二年分の総所得金額が五〇六〇万四七五一円で、これに対する所得税額が二〇六〇万五五〇〇円であるにもかかわらず、売上の一部を除外する等の行為により右所得の一部を秘匿したうえ、平成三年三月一五日、前記生野税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得金額が七七九万一四〇一円でこれに対する所得税額が八六万九六〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額一九七三万五九〇〇円を免れ(別紙1の2の修正損益計算書及び別紙2の税額計算書参照)

第三  平成三年分の総所得金額が九四四三万八六一五円で、これに対する所得税額が四二五一万七五〇〇円であるにもかかわらず、前記第二記載の行為と同様の行為により右所得の一部を秘匿したうえ、平成四年二月二七日、前記生野税務署において、同税務署長に対し、平成三年分の総所得金額が一〇三四万三八四三円でこれに対する所得税額が一七二万二〇〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同年分の所得税額四〇七九万五五〇〇円を免れ(別紙1の3の修正損益計算書及び別紙2の税額計算書参照)

たものである。

(証拠の標目)〈注〉括弧内の算用数字は記録中の証拠等関係カード(検察官請求分)記載の当該番号の証拠を示す。

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書五通

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書四通

一  平岡喬介の大蔵事務官に対する質問てん末書二通

一  収税官吏作成の「所轄税務署の所在地について」と題する書面

一  大蔵事務官作成の証明書(8)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書七通(9ないし11、13、16、18、24)

判示第一及び第二の事実について

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(12)

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(1)

一  大蔵事務官作成の証明書(4)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書四通(17、19、21、22)

判示第二及び第三の事実について

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(14)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(2)

一  大蔵事務官作成の証明書(5)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書三通(15、20、23)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(3)

一  大蔵事務官作成の証明書(6)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(25)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、いずれも所定の懲役刑と罰金刑とを併科し、かつ、各罪につき情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年及び罰金一六〇〇万円に処し、同法一八条により、右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松下潔)

別紙1の1

修正損益計算書

〈省略〉

別紙1の2

修正損益計算書

〈省略〉

別紙1の3

修正損益計算書

自 平成3年1月1日

至 平成3年12月31日 (事業所得)

〈省略〉

自 平成3年1月1日

至 平成3年12月31日 (総合短期譲渡所得)

〈省略〉

別紙2

税額計算書

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例